看板
先日DRから看板の相談を受けました。看板業者と打ち合わせして進めるも、なかなか納得いくものが出来ないという話でした。
業者から出てきた案を見てみると、白背景に文字があって、文字の色はテーマカラーと言われる色でクリニックの名前が書かれています。
確かにこれでは、地域の人は意識して看板に目線を動かさないと目に入りません。
「看板の目的をはっきりさせましょう」
と私がお話をし、
「新規開業なので、地域の人に気づいてもらうためには、風景に同化しないよう少し違和感がある色でいきませんか?」
という話をしました。
少しだけ崩すと目線がいくので、わざと違和感が出るようにするのはよくやるテクニックです。
あとどこの立ち位置からの目線を重要視するか?となってきますが、看板は遠くからでも目に入るようしたかったので、
「高速道路の道路標示は濃い色に白抜きですよね。高速道路は早いスピードでみんな運転していますし、その運転する人が白地に緑の文字で表示が出ていたら遠方から見えますか?」
という話をしました。
打ち合わせの方針で、濃い色に白抜きということは決定しましたが、まだ色が決まりません。
色を決めるために、別のアドバイスをしました・・・
看板には敷地内の看板と野立て看板があります。
敷地内の看板だけでもメインの大きな看板や小さな看板、入口のガラス面に設置するガラスシート、開院前のシートや垂れ幕など多岐に渡ります。
野立て看板も道路沿いにある野立て看板もあれば、駅にある駅看板、バスなどにあるバスの看板や地下鉄などの中にあるポスターなどいろいろな種類があります。
まず敷地内看板についてお話をすると、
どこから見えるようにするのか?
特に大きな看板はお金も敷地内の中で一番かかりますのでどこから見えるようにするのか。
その看板の色をどうするのか?
遠目から見るためには濃い色の白抜きなどがありますが周囲の色とかぶるのであれば風景に溶け込んで目立たなくなってしまいます。
あと競合のクリニックのイメージカラーもきちんと把握をして差別化を考える必要もあります。
また、何を強調したいのか。
クリニックの名前だけではなく、強みや協調したい部分があれば、それをどのように表現するのかなども重要です。
メイン看板以外にも医療機器を伝えたり、専門医を伝えたり、敷地内の看板は一つだけと思っておられる方も多いのですが、敷地内看板を過去に10コくらい設置したケースもあり、1回の設置代だけでその後お金が不要のことが多いので、地域認知のため出来る事はいろいろされた方が良いと思います。
ガラスシートに貼るものも競合のイメージカラーは外して、科目や時間、専門医など保健所から検査が来たりしますので、きちんと法律の範囲内でアピールできることをされたら良いと思います。
オープン前のシートや垂れ幕はオープン時期や科目を明記することによって、開業場所が決まったら他の開業を抑止するという意味でもアピールされた方が良いと思っています。
次に野立て看板ですが、野立て看板の中で駅看板などは、最近みんなスマホを見ていることが多く場所によっては以前よりも反応が落ちている可能性があるかもと思っています。
周辺競合の中でかなり目立つことをしていかないと目に入らなくなります。
野立て看板も昔と比べると看板の数がかなり増えているので場所や見せ方によって反応が変わるので周辺の看板の多さや色、アピール内容などどうすれば目立つのか、どうしたら目に留めてもらえるのか、いろいろな角度から考えていく必要があります。
目線的にも高い場所の野立て看板は反応率が下がる傾向にあります。
自然に目に入る高さの看板など、通行している人が無意識に目に入ることを意識して考えていく必要があります。
野立て看板だけではなく電柱看板などもありますが、大きさ的に歩いて道をキョロキョロ場所を探している時などは役に立ちますが、車で通行している時に目線がいくことは確立としてはかなり低いです。
看板で意識すべき点として直感的に目に入るかどうか。
そのためには目立つ色であること、文字も簡単にシンプルに表現できていることが重要になります。
また、先生が作られる看板は数多くの看板の中で目立っているでしょうか?
お洒落な看板を作ろうとされる方もいらっしゃいますが、風景と同化してしまうお洒落さは目立たなかったりします。
日常生活において道を歩いたり車で通っている時、莫大な量の看板を目にしています。
道路の両サイドが看板だらけだとすると毎日大量の看板を見ていることになりますが、先生ご自身は今日1日目にしてきた看板でどのくらいの数が印象に残っているでしょうか。
多くの中で目立たないと看板が存在していることすら気付いてもらえないことがあります。
医療関係者の方は意識的に医療の看板に目がいきますが、一般の方はそこまで意識がいかないと思います。
あと、暗くなってからも目につきやすいのか。
雨の日でも目に留まるような看板なのか。
また看板自体わかりやすいことも非常に重要です。
理解しやすい似顔絵やイラスト、写真などを使うケースもあります。
また頭に残りやすいかどうか。例えば、競合のクリニックとイメージカラーがかぶったりすると地域の人が混乱してしまいます。
しっかりオリジナルとして記憶してもらいやすいことも考えていく必要があります。
設置する場所や配置などによっても通行人の視点からみて死角ができたり見えにくかったりすることがありますので、そこを踏まえて設置場所を考える必要があります。
出来るだけいろいろな人の視覚に入りやすいように考えていく必要があります。
大きさも大きい方が目立ちますし、コストはかかりますが知ってもらえなければ来院してもらえないので力を入れる必要はあります。
注意点として、目立つ必要はありますが、医療ということから色や表現が安心感や信頼感からかけ離れるようであっては意味を持たなくするケースもあります。好感を持ってもらえるような表現も重要となります。
看板や野立て看板は契約したらすぐに出せるわけではなく、スケジュールが大きく関係してきます。
看板のデザインをいつまでに作るのか。駅看板などは電鉄に意匠審査などをしてそこで承認されて、初めて意匠面の制作が動き出します。
取付、設置などの時間もかかりますしスケジュールが重要になります。
野立て看板も景観規制や法律があったりします。大きければ大きいほどいろいろな法律が関わってきますので、それによりスケジュールも変わってきます。
以前と比べたら野立て看板の反応は下がってきている気もしますが、私のコンサル先の中では野立て看板だけで月に100万円以上広告費を支払われているところがあります。
そこは看板の費用対効果を測定されて、一つ一つ増やしていった結果が月額100万円以上となっていますが、費用対効果を測定されながらしているので、月売り上げは2000万円以上出ていました。
逆にお金をかけても費用対効果が悪い看板もあります。
地域によって看板からの患者さんが多い地域もあれば、少ない地域もあります。
当然看板の数が多ければ多い地域ほど、看板の反応率は下がっている印象です。
開業される立地によっても、前面の道路の交通量が多いのか少ないのかによっても看板の威力は変わってきます。
目立つ場所であれば敷地内の看板を重視して、看板の数を増やされても良いかもしれません。
私のコンサル先で10以上敷地内看板を設置しているクリニックは毎月、敷地内看板からかなりの患者さんが来られていたケースもありました。
ただその看板の色や表現する情報などを綿密に打合せされ、細かく看板作りをされていました。
私の場合は全国でコンサルをしているため野立て看板の反応が高い地域があったり、低い地域があることを数多く見ています。
やはり田舎であったり、野立て看板が少ない地域ほど、野立て看板からの患者さんの流入は多いと感じています。
看板が多い地域であれば看板からの反応は落ちていく印象はありますが、逆に人通りや交通量が多かったりすることから、数多くの看板の中でどれだけ目立つことが可能かということを念頭に看板での戦略を練っていけば、看板からの患者さんはまだまだ結構来ています。
看板を出す場合にはリサーチと戦略が重要となります。