継承スケジュール
医院開業継承スケジュール
医院開業にあたってのスケジュールについてですが、継承開業について述べてみたいと思います。
今回は個人の医院を個人Drが継承するというパターンです。
医院の継承開業スケジュールですが、一般的な流れとそれに想定される時間はあるのですが、開業物件が決定するまでは時間が 読めません。開業しようと意思決定してすぐによい物件に巡り合うこともあるでしょうし、よい物件に出会えないこと、出会えても 他の方に物件を取られたり、最終的に判断が出来なかったりと様々なケースが出てきます。
医院開業の物件選定についてプロになるわけでもありませんので、どなたか医院開業のプロの相談相手を作られるのが得策かと思います。
これは診療圏調査のみではなく、動線や不動産自体の特性、競合との力関係も含め見ていくことが重要になりますので客観性をもった アドバイスを受けることが大切かと思います。
物件が決定した後はある程度計画的に開業まで進めることが出来ます。継承開業の場合通常約4ヶ月(地域によっては診療中の場合で 保険診療を空きなしでする場合、それ以上の期間が必要なケースもあります)見ておけば大丈夫ではないでしょうか。
次に継承開業のスケジュールの流れを説明していきます(希望開業月から逆算してみてください)。
まず、最初にするのが開業をすると意思決定した後に
継承物件の情報提供を業者に依頼します。通常診療中などの継承物件の情報は他の不動産情報と違って流通せず、狭い範囲の中で 決まっていくことが多い。それは開業医の先生の意向や情報が漏れた場合の取引先、金融機関、スタッフへの影響度といった性格上 しかたない部分と思います。まずは経験が豊富な業者を選定することが重要でしょう。継承が成功した開業医(前院長)へ継承を 考えている開業医の先生が内々でどうやって継承したんですか?と聞くケースは多く、情報も集まり安心度も高いでしょう。
あと、継承物件はある意味ラッキーなケースになるためよい情報はやはり少なくなりますし、またよい情報は足が速いし、内々のうち に決まってしまうことがほとんどです。チャンスを広げるためにも業者への依頼エリアは広めに相談されるほうがいいかと思います (自宅から30分以内で診療中でなどという案件は出てくるかどうか分かりませんし、出てきてもつかめるかどうかの可能性もあり ます)。
医療理念や方針にについては、継承先の理念や方針を当初は継承すべきでしょう。これを誤り、診療圏の患者取り込み以前に、既存の 患者を逃がしたケースも多くあります。この際の継承のノウハウ等は経験豊富な業者に相談されるほうがよいかと思います(よろし ければご相談ください)。
物件が出てきて検討。
診療中であれば、様々な対策をしながらやっていきますし、閉院後でもメリットはあります。詳細は微妙な部分が多いため相談会等 でお話できればと考えます。
物件選定の判断として診療圏調査で収入の予測と開業可能性を探ります。
診療圏調査の数字と競合との優位性が判断出来、開業できると判断した場合、物件の意思決定です。
開業物件の目処がつけば、事業計画の作成です。設備投資にいくらかかるのか、運転資金はどれくらいの期間用意するのか、売上想定 はどうなるのか、支出はどうなるのか、その資金計画はなどを明確にし。先生ご自身の十分な理解が必要になってきます。経営者としての 財務の理解は必須ですので、ご自身で理解し確認することが大事かと思います。
次にその事業計画をもって金融機関との打合せです。金利や医院の場所に近い、金融機関の医療に対する取り組みなど様々なポイント を考慮して判断していったほうがよいでしょう。また公的機関との組み合わせもありますし。
平行して医院のプラン作成です。この場合設計事務所と建設会社のどちらに依頼するかという問題が出てきますが。改装の規模にも よりますが、一般的に継承規模では建設会社にプランをして貰ったほうがトータル的に安くなるケースが多いようです。但し、科目で センスやこだわりを表現したい場合は設計事務所の方がいい場合もあります。また建設会社に依頼する場合でも医療に強い業者でないと 様々な問題点が発生するケースがあるため業者選定は重要になります。基本は数社競争が理想です(物件を業者が押さえている場合も ありますので、メリット・デメリットを考えた上での検討が必要でしょう)。
平行して不動産の正式契約です。契約は融資が決定してからが一番間違いがないのですが、それだとよい物件の場合他の方に取られてし まう可能性が高まるでしょう。契約の効力が融資発生時からするとする停止条件つきの契約にするなどして対応することも大切になってき ます。ハード的にも最近ではアスベストなど問題がある不動産もありますので注意が必要です。また他にこまかな交渉手法もあるのです が、詳しくはご相談いただければと思います。
正式契約後、継承の段取りを進めていきます。ソフト・ハード面いろいろありますが、必ずしなければならないものとしては、既存の 医院の廃止届等の閉院の手続き段取りを行うことです。正式にはオープン日を決めそれに沿ってベストのスケジュールで進めるのですが、 同じ場所で、2つの診療所は存在しないため確実な行政手続が必要です。
平行で大型の医療機器選定。国民金融公庫等の場合は融資交渉の段階で見積要求もありますので、大型の選定は早目が良いでしょう。
また、当然にプランや資金計画(購入かリースかなど)にも影響してきますので開業物件の目処がつけば早めの検討がよいでしょう。
案件が決まる前に動きすぎると情報が交錯するケースもありますので、物件選定後がよいかと思います。
融資、プランなどが確定してきたら工事の契約、内装工事という流れになります。工事は通常売ってある商品と違って図面での契約に なるため追加工事などの関係等事前に工事業者と打合せしてして、契約書もきちんとしておいたほうがベストかと思います。契約内容 のポイントはまた違うところでお話できればと思います。
工事進行中に印刷物の段取り、スタッフ募集の広告など(医師会チェックが入る地域もありますので注意必要です)。継承の場合、 以前のスタッフに残ってもらうことが多いのですが、メリット・デメリットありますので、事前調査が必要です。
スタッフ募集も時期に注意が必要です。広報の意味合いやよりよい人材の確保可能性が高い時期など。スタッフについては、募集方法、 採用段取り、面接、採用、採用後の段取り、スタッフ教育などがあります。いい人材を確保することが医院の成功角度を高める要因に なりますので、非常に重要です。継承の場合、以前のスタッフを不安にさせる可能性もありますので、気配りや手法も工夫が必要です。
備品や医薬品の購入。医薬品業者の見積・決定(医薬品卸に開業支援そのものを依頼した場合、常識的にそこを使うことになるでしょう)。
基本的には、以前の医院の取引先の継承になるケースが多い。
工事完了後の機器導入、チェック。備品等の整理など。
開業前の連携先回りや関係各所挨拶など。開業の案内状の送付や内覧会開催も。こちらも各手法等いろいろありますが非常に重要です。
ここでは人脈の継承も出てきますので、非常に重要になります。
保険所等行政機関への届出。実地検査がある場合もあり、図面等の整合性や医療法との整合性が必須になります。
オープン。こられる患者は以前のイメージが残っていますので最初の対応が非常に重要です。
なお、医療法人の譲渡による医院継承の場合、出資金(会社でいう株のような感じ)の譲渡や理事長交代という段取りでいきますので、 手法はもちろんスケジュールも変わってきます(詳細は長くなりますので、また別の機会にでも)。