経営分析の比率
収益性
収益性については、建物設備や医療機器など投下した資本に対して、どれくらい利益があがったかという視点で見ていきます。
総資本利益率=利益/総資本
利益については、営業利益や経常利益などに分けて出すこともあります。
そしてこの総資本利益率は二つの式に分解することが出来ます。
総資本利益率=(売上/総資本)*(利益/売上)
(売上/総資本)は総資本回転率といわれ、投下資本に対しての効率の回転率を見ています。
(利益/売上)は利益率といわれ、売上に対しての利益です。
収益性を上げるためにはこのように、利益率を上げていくか、回転率つまり効率を上げていくかということになります。
費用
利益率を上げるためには、コストのコントロールが必要です。コストの把握をするためには比率を出すことが重要です。
材料費比率は 材料費/売上となります。科目や院外処方に変わってきますが、同科目で比較します。
その他売上と比較する費用関係ものに人件費比率、経費比率などがあります。
またこの場合固定費比率や変動費比率といった把握も必要です。 改善としても例えば、薬品材料費率が高い場合の改善策としては、購入方法の改善、在庫高を減らす、支払条件を変更するなど。
支払能力
支払能力の比率は流動比率、当座比率などがあります。
流動比率は流動資産/流動負債です。これが100%を割っているとすぐパンクしますし、100%を超えていても 100%に近い状態だと 非常に注意が必要です。流動資産については、用語のところで簡単に説明しましたが、基本的に1年以内でのお金にする ことが可能ということを目安としています。流動負債は1年以内に返済ということになります。
経営はお金が回っていくことが重要なので、大切な比率になります。
回転率
総資本回転率は売上高を総資本で割ったもので、効率を見ます。
棚卸資産回転率は棚卸資産の活用度合いをみるのに役立ちます。これが悪いとある意味使わないお金を無駄 (消耗する薬に変え)に寝かせている状態となります。
能率
医業収入と借入れの比率や
医業収入と支払利息の比率(比率が高いと金融負担が大きいことになります)。
従業員一人当たりの医業収入他。
安全度
経営は効率のみ追い求めるものではなく、安全面も見ておく必要があります。 これからの医療行政の変化の可能性からもこの面を高めておくことは重要になると思われます。
自己資本比率=自己資本/総資本
固定長期適合率=固定資産/(固定負債+自己資本+引当金)
成長性
各々の数字、比率を時系列に比較。 簡単で、重要なものに患者動向の推移があります。 社保、国保、生保などに分けて、新患数、一人当たりの単価などを月別に分けて把握し、時系列のデータを見 たりします。
経営分析の手法は数多くあり、ここだけでは述べることは出来ませんが非常に大切なことです。
それは自分の医院の問題点を数値として把握し、対策を練り、意思決定するというプロセスに無くてはならないものです。