契約関係
医院開業においては、不動産の賃貸や売買などの契約、建設工事といった重要な契約関係が出てきます。 金額が大きいものなので、契約関係のポイントのお話をしたいと思います。
まず、不動産の賃貸についてですが、新規開業や継承開業の形態により、建物の賃貸やテナント賃貸、 借地などの賃貸契約ということになります。
ポイントとしては、
①賃料が相場と比較してどうか。共益費はどうなのか。合計の実質賃料は高くないかなど。但し、 継承開業の場合、ケースにより通常の相場より高い賃料になることがままあります。これは、 相手方に敬意を表す意味もあるのですが、患者や連携先の人脈の継承などをスムーズにいかせるために も一歩譲った形になることと、より継承物件は希少性が高く誰から見ても良い物件は高くなりがちという 傾向のためです。メリット・デメリットを十分比較する必要があるでしょうが、通例これでもトータルでは 継承する側のDrが得をされるケースが多いと思います。
②賃料の改定についての時期や改定ケースの条件などの文章化。これについては、賃料があがれば敷金も 追加支払いが出てくるケースが多くあります。
③期間はどうか、特に継承開業の場合患者だけ継承して移転されてはこまるわけですから契約期間の縛り が出てくるケースもあります。
④敷金や権利金、敷引きなど。通常相場になりますが、借地の場合計画する建物の解体費相当額を参考に 決める場合もあります。また、地域により、事業用借地でも住居系の定期借地と同じような土地評価額の 20%の保証金実例があり要求される地域もありますので注意が必要です。
⑤法律的にも定期借家契約(契約期間がすぎれば絶対的に出て行かないといけない契約、これを避けるには 契約期間終了前に再契約が必要)、普通借家契約。借地においても事業用借地契約(これも期限付きの契約)、 普通借地契約があります。事業用借地の場合は公正証書の必要性があり費用負担も出てきます。
⑥解約条件についてや、撤退時の原状回復など。
⑦保証人についても、条件を出してこられるオーナーもいらっしゃいます。
⑧アスベストなど。コスト高になる要因があったりしますので契約時不動産業者が説明する重要事項の説明 も大切です。
⑨継承の場合で自宅と医院が併設されている場合。電気、水道、ガスのメーターを分離させるなどの対応問題 も出てきます。
⑩親族所有の不動産の賃貸についてもただであれば贈与税がかかりますし、生計を同一にしていれば賃料が 経費で落ちないなどのケースもあるようですので注意が必要です。
⑪その他。テナントの場合ビルのグレードのため看板を外に大きくかかげられなかったりすることもあり、 注意が必要です。
不動産の買取契約については
①権利関係の調査、把握(不動産業者が重要事項説明をしてくれますが)
②用途地域なの法律関係の把握。市街化調整区域でも医院は建設(Drが医院を開設するのであれば)できますが、 他の業種(一部を除く)に転用がきかなかったりと資産価値の問題も出てきますので注意が必要です。
③実測。公図や登記簿と実際の面積が違うケースは多い。
④当然のことながら金額の妥当性。
⑤引渡し時期や支払い時期、決済方法。登記、融資が絡む場合は担保設定のタイミングの問題など出てきますので 注意が必要です。
建設工事の工事契約についても
①金額(契約書に見積書添付必要)、支払条件、工期。工期が遅れた場合の対応の文書化。工事保証人。
②追加工事の文書化。変更契約や追加工事で変更があった場合、建築確認と違った場合行政より検査済書がもらえるか どうか、時期が遅れたりしないかどうか注意必要。
②引渡し後の瑕疵担保など。