医院開業準備期間
◆テナント開業の場合
◆クリニックビルの場合
◆借地や土地購入からの場合
◆建て貸しの場合
◆継承の場合
◆医局にルールがある場合
◆物件を探す期間
◆準備期間にできること
◆準備期間の経費
◆数年かけて開業準備をする場合
◆テナント開業の場合
物件が決まってから最短で4ヶ月程で開業のコンサルをしたケースがあります。
最近は工事期間が延びる傾向がありますので、5~6ヶ月程見込んでいたほうが安心かと思います。物件探しは1年半前ぐらいからスタートしたほうがいいです。また、物件を契約した段階で開業までに空家賃を支払うことになります。その際、銀行から借り入れる場合の据え置き期間の確認も重要なポイントとなります。銀行の据え置き期間においては、だいたい半年~1年です。また、多少金利が高くても据え置き期間が長く、銀行ではない金融機関からお金を借りることができるケースもあります。
◆クリニックビルの場合
クリニックビルの場合、開業の準備というよりもクリニックビルのスケジュールが非常に重要になってきます。ビルの不動産担保で銀行からお金を借り入れて計画を進める場合は、割とスムーズに計画が進むのですが、テナントであるクリニックがある程度決まらなければ、銀行からの融資が止まるケースもあります。また、クリニックビルの計画に絡む薬局や会社自体が、ドクターの登録をどれだけ数多く持っているのかによっても計画の進み具合は変わってきます。
建物自体が既に完成しているクリニックビルの場合は、テナント開業と同じようなスケジュールで進めることができますが、建設と内装の工事業者を一緒にする場合と分ける場合によってもスケジュールやコストなども大きく変わってきますので、各業者へ相談して進められることをお勧めします。
◆借地や土地購入からの場合
土地自体が農地か更地かによって工事期間が変わります。
農地の場合は、農地転用が必要になり、その期間は1~2カ月です。なお、その農地が国の予算を受けて圃場整備をしている場合、農地転用自体が厳しくなりますし、農地転用するまでの期間がかなり延びる可能性があります。地域によっては、敷地面積がある程度の広さを超えてしまと、開発行為という行政への申請をすることになるので注意が必要です。
また、造成工事や護岸工事などを行う場合や敷地内に行政の交友水面があったり払い下げがかかることでも工事期間がかかります。
土地を借りて一戸建てを建てる場合、物件が決まってからでも最低1年はみておく必要があります。既に、更地や宅地で開発がかからない場合1年よりも短縮することが可能な物件もあります。
◆建て貸しの場合
地主さんと借入をする銀行との折衝期間なども必要になりますので、借地や土地購入で開業する場合のスケジュールとほぼ同じくらいで1年~1年半程かかるケースが多いです。
◆継承の場合
継承開業は半年ぐらいかけて進めていくのが良いかと思います。継承するクリニックに勤務医という形で入って、カルテを一巡するくらい入っておいたほうが継承としては安全です。前の院長との医療のギャップがあると患者さんが離れていく可能性がありますので、前の院長のソフトの部分を学び、しっかりと継承の準備期間を設けるこが重要となります。
◆医局にルールがある場合
所属されている医局によってルールがあるようです。1年ルールがある医局は、1年前に開業を伝えて了解を得て進めていきます。その年に他のドクターからの開業希望が集中した場合、調整を依頼されるケースもあるようです。医局が厳しい場合は、ルールに則って早めに対策する期間が必要かと思います。
◆物件を探す期間
物件を探す期間は、余裕をもって1年ぐらいをみておいたほうがいいかと思います。
闇雲に物件を探すのではなく、ご自身がやりたい医療や方針を明確にすると失敗の確率を下げることができますので、計画準備を立てる期間を織り込む必要があります。その計画や構想によって適地が変わります。専門性の高いクリニックの適地は、患者さんが非常に流入する可能性のある交通機関が複数クロスする場所をお勧めします。プライマリー的なクリニックの適地は、競合が少なく診療圏調査で良い数字が出る場所をお勧めします。ある程度の開業後のイメージを決めて物件を探さないと、開業が想定通りにいかなくなります。入口を間違うと出口を間違うことになりますので、数多くのコンサルタントに相談されて物件を探されることをお勧めします。
◆準備期間にできること
開業迄の準備も大事ですが、開業後の経営に関しての準備のほうが特に大事です。
開業後の悩みは大きく2つに分かれると思っています。1つはスタッフの労務管理です。
スタッフ一人一人と向き合っていかないといけない時代になってきています。その為にも、感情を持ったスタッフとコミュニケーションをとる方法を開業前の準備期間に勉強して身に着けることをお勧めします。私のコンサル先では、開業前にスタッフをマネジメントする為のトレーニングを行っています。スタッフのマネジメントにエネルギーを削がれると、先生ご自身の実力のポテンシャルを大きく落とすことになると感じています。スタッフが協力的なところは、スタッフの力を借りて患者数が増え、魅力的なクリニックになると思いますので、労務の勉強とマネジメントのトレーニングは非常に重要です。
もう一つは売上利益です。流行りの感染症ウィルス以降、さらに厳しくなってきていますので開業前の期間中にマーケティングの勉強や患者さんへの接遇など引き出しを多く準備しておくことです。開業1年後に患者数が少ないと流行っていないクリニックと地域に認識がついてしまい、その後の展開が厳しくなってきます。最初の1年が肝心ですのでしっかりと事前準備をして開業を迎えられることをお勧めします。
◆準備期間の経費
物件探しで使った交通費、ガソリン代など領収書など記録をとっていれば経費として落ちるものもありますので、早めに税理士・会計士さんを決めて開業準備期間の経費の落とし方を相談されてもいいいかと思います。
◆数年かけて開業準備をする場合
トレーニングとしてサテライトクリニックの雇われ院長を経験するパターンもあります。それもゼロからの立上げを一度経験しておくと、ご自身が開業する時のシュミレーションにもなりますので役に立つかもしれません。ただ、この場合は内容に意味があるのかを判断してもらう為に、コンサルタントをつけてアドバイスを受けながら進めていくことをお勧めします。
このような開業前のトレーニングも重要ですが、開業するかどうかを早い段階で決めて動き出すことが大事です。一般的には開業医は60歳を超えると患者数や売上が減っていく傾向があるようです。早く開業をすれば、将来的に頑張れる期間は長くなります。
まずは、開業の決断を早くすることをお勧めします。