クリニック(医院)開業 失敗②
目次・・・①過大設備投資の失敗
①ー1:課題設備投資で、損益分岐点が変わる
①ー2:無駄な面積に課題設備投資をしていないか?
①ー3:医療機器は、投資になっているのか?支出になっているのか?
②スタッフの労務問題での失敗
②ー1:病院からスタッフを連れていくことの弊害
②ー2:いいスタッフから辞めていく・・・
②ー3:当社OSC株式会社の『相性分析テスト』
【コンサルタント小副川】
一部上場のコンサル会社から平成17年に独立し、OSCを創業。
継承開業68件、新規開業210件以上をコンサルしてきている。
出版物に『リーダーのための相性分析入門』がある。
コンサル先のDrの先生も、出版されているDrの方が複数
①過大設備投資の失敗
①ー1:課題設備投資で、損益分岐点が変わる
財務体質と絡むのですが、過大設備投資をしたらその損益分岐点を跳ね上げることになります。一般的な開業よりも投資額を多くしたら、損益分岐点が高くなるのでほかのクリニックではなんともなくても自分の損益分岐点が高いクリニックでは倒産するリスクがあるのです。
患者数が同じなのに利益が出ているクリニックもあれば、赤字になるクリニックがあるのは過大設備投資も一つの理由となります。
①ー2:無駄な面積に課題設備投資をしていないか?
過大設備投資で院長室を含むお金を生まない面積がなぜか大きいクリニックがあります。
クリニックは事業であり、院長室を豪華にお金をかけたとしてもそこはお金を生みません。
お金を生まずに損益分岐点が上がる。 そこのお金の使い方は考えた方がよいと思います。
①ー3:医療機器は、投資になっているのか?支出になっているのか?
あと、医療機械も専門の必要な機器をどんどん購入される先生もいらっしゃいますが
その機器を投資して本当に回収できるのか、回収するためには患者さんを何人入れないといけないのか、そこをよく考えて設備投資をしないと採算が合わない機械を買って損益分岐点を跳ね上げてしまう。 また最近の医療機械は保守費用などランニングコストもかかるので、欲しいものを買うのではなく、経営的に必要なものなのか、採算がペイできるのか
を考えて、欲しいという感情を優先して買っていくと損益分岐点をただ自己満足で上げることになってしまいます。
過大設備投資をすると損益分岐点を跳ね上げることはきちんと頭に入れておく必要があります。 お金を生まない過大設備投資をして損益分岐点を跳ね上げることほど合理性がないものはないのではないでしょうか。
②労務問題の失敗
②ー1:病院からスタッフを連れていくことの弊害
開業医の先生から労務問題で苦労するよとか、開業前に思っていたものと労務が一番想像と違うという話を聞いたことがありませんか?
労務の問題で損益分岐点を上げる採用について少しお話をします。
病院から看護師を引き抜かれて行かれるドクターの方は結構いらっしゃいますが
その連れて行った看護師がずっといるというケースが実は少ないということをご存じでしょうか。
病院勤務だと当直などもあり年収がかなり高額になるケースが多いと思いますが
ある程度の高額な年収を保証しないと今の勤務先を辞めてきてくれることはあまりないですよね。そのために高い給与を払って引っ張ってくる先生が多いのですが、それが長く居つくケースが少ないのはなぜだと思いますか。
連れていく院長は今まで慣れ親しんでいてコミュニケーションも取れている看護師なのでみんなの手本になってくれることを期待している先生が多いと思います。
ただ病院勤務しかしたことのない看護師の方の場合は、病院は組織が大きいため細かい仕事が縦割りになっています。それは組織上責任追及しやすい組織にするため仕事範囲を決めざるをえない病院の組織的な体質もあります。
ただそれをクリニックで病院と同じように看護師が自分の今までの経験で、自分の仕事はここからここまでと勝手に決めてしまうと狭い仕事の範囲でしか仕事ができなくなる。
ということは必然的に人が多くいる組織になってしまう。手本となるべき人が自分で範囲を決めて仕事を楽にしていると、ほかのスタッフも全部それを真似してしまう。
クリニックで人件費が低いところは、みんなで協力し合って横の垣根なくいろいろ動いていくため人件費が低いのです。
病院のように前の職場ではこうだったとスタッフ自身が仕事の範囲を決めてしまうと、細かく配置を分けて仕事をすることになるので人員が必要となり、手本になるべき病院から引っ張ってきたスタッフが、みんなの人件費をあげる元凶になる悪い手本になってしまう。長年病院で染みついたものを抜けさせるためには、引っ張っていくときにこの部分の意識改革を最初にしておかないと無意識にやってしまいます。
これは事例の一つでほかにもいろいろありますが、病院勤務しか経験のない看護師は仕事の範囲が狭いケースがありますので注意が必要です。もちろん人にもよりますが。
②ー2:いいスタッフから辞めていく・・・
また、開業医の知人友人の先生から、良いスタッフから辞めていくという話も聞いたことがありませんか?
良いスタッフから辞めていくことは結構多いです。それも実は優しい先生のクリニックほど良いスタッフが辞めていきます。いくつかのパターンがあるのですが、私のところはスタッフ採用の前に性格診断のテストを行っています。そこで承認欲求が高くて子供っぽいタイプの人がいると優秀な方が辞めていくケースが確立的には高い印象を持っています。
承認欲求が高い人は認められたい、評価されたいという気持ちが高く、かつ子供っぽい方は確立として自分のミスを後でばれるような子供っぽい形で隠すようなことをされる人が多い。 院長に対しては良い顔をするので院長は気付かないけれども同僚は気付くという事が結構あります。それであれば仕事ができる人からするとズルをしている。しかし院長は気付いていない。というように見えてしまう。
仕事ができる人は意識が高く自分は頑張っているという思いがあるけれども、そのように捉えてしまうと、ばかばかしくなり、辞めていく。また、優しい院長ほど能力が低いスタッフも能力が高く頑張っているスタッフも平等に扱われる先生がいらっしゃいます。
このケースでよくあるのは、能力が低いスタッフが仕事を覚えるのではなく、質問をしながら仕事をする。能力のある人の時間を奪って仕事をしているので、能力がある人は能力がない人のカバーをする仕事をしながら自分の仕事をしなければならない。
それを優しい院長が平等に扱ったら、仕事のカバーをして自分がこの人をフォローしているという意識のある人はどのように思うでしょうか?
少しの間であれば良いがそれが延々と続くと思ったら意欲のある頑張っている人がばかばかしく感じても不思議ではありません。 これがわりと頻繁に起きており、良い人が辞めていっています。
②ー3:当社OSC株式会社の『相性分析テスト』
だからこそ、採用前の能力分析や性格分析が重要になってきます。
当社OSC株式会社では、スタッフの採用前に、性格タイプを分析するテストをやっています。
クリニックを開業されるDrの方が、勤務医の時に、働かれている職場のスタッフをまずテストしていただき、相性がいいスタッフと、相性が悪いスタッフを言語化して、ご説明しています。
相性がいいタイプは、なぜ相性がいいのか、相性が悪いタイプはなぜ相性が悪いのかと、改善点をアドバイスして、勤務医の時に改善のトレーニングをやってもらっています。
このやり方を理解すると、患者さんへのアプローチ方法も打ち手が増えていき、患者さんの満足度を上げることも可能になります。
これをスタッフ採用時にやっていない、やり方もわからないために失敗しているクリニックも多いのです。