土地購入型戸建開業
の特徴は土地を購入するためコストが高くつくといったところでしょうか。
例えば内科のテナント開業が5000~6000万円でできるとして、普通のやりかたであれば土地購入型戸建開業であれば1億円は 越すでしょう(運転資金込み)。
私見ではありますが、この形態の開業はあまりお勧めしません。
あまり書きすぎるとお叱りを受けそうですが、先生方の一生を決める大きなポイントになってくると思いますので。
理由はいくつかあるのですが、
一つ目は基本的に患者にとっては、借地であろうと、購入の建物であろうと関係ないことです。かえって土地にお金をかけるなら、 患者サービスにあたって資金投入したほうが効果があると思います。
二つ目は建物への投資と土地への投資は基本的に財務構造が違うため、資金での負担が非常に厳しくなるといったところでしょうか。
もう少し詳しく話しますと、建物は税務上減価償却という経費計上が認められいますので、ある意味節税効果(投資により毎年減価償却 の分は税金を払わなくていいというもの)がありますが。土地は減価償却が認められていないため、税引き後のお金でもろに元本返済 していかなければならないといったところでしょうか。つまり建物や医療機器と比べ税金分の売上高を稼がなくてはいけない財務体質 になってしまうのです。いままでためた自己資金があり、このお金を土地購入費にあてることができる場合はいいのでしょうが。
三つ目は一般論として、初期の投資額と年間売り上げが同じくらいに設定したほうが経営的に安定するといったものです。つまり 土地購入から始めるとおそらく初期投資は1億円を超してしまうでしょう。売上がそれ以上見込めるかどうかです。これはその個別 のマーケットにより違うと思いますが、例として数年前の調査でしたがある県の内科診療所の平均売上は7000万円を切っていました。 テナント、戸建含めですが、その後診療報酬の改定もあったのでさらに厳しくなっていると思います。つまり平均をはるか超える売上 を確保することができるかどうかが問題になってきます。実体が無いときにこれを意思決定することは非常にリスクが高く、選択肢と してそれ以外の選択肢もあるため他をまず検討することがいいのではと思います。
次に逆の意見として土地購入のメリットや可能性をお話します。
土地購入のメリットは、自分の所有という満足以外では担保にとれるといった部分ではないでしょうか。しかし、事業成立が 前提になりますので、事業が計画でなりたつかどうかの問題が一番大切です。
あと可能性として、開業立地が田舎で土地も安く、競合も戸建且つ自宅併設ばかりの地域では、新規開業も戸建で且つ自宅併設を 地域に求められる可能性もありますのでこの場合は検討の余地ありと思います。
また、田舎の場合都心部ではほとんど利用できない福利医療機構の融資を利用できる可能性があります。これは診療所が不足している 地域に対し積極的に低利の融資で行政が応援するいった意味でつくられているものです。但し、売上や財務の綿密な計画は当然必須です。
それと自宅を併設する場合でも最初は出来るだけ面積を小さくすることが経営を安定させる方法でしょう。住宅の低利の融資が利用でき るとしてもまずは、本業である医院の経営がどうなるかが大前提です。
あと、金融機関が20年以上の返済期間で貸してくれ、土地建物の返済費用(税引き後の元本返済も考慮した)の固定費が全体比として 押さえることが出来た場合なども可能性ありと思います。
経験の実例としては、建物が建つ部分の最低面積のみ購入で担保をつけ、あとの駐車場などは全部借地でいったケースはありました。
経営は成功されているため今はいいのですが、最初は他の借地などの方法がいいのではと不安になったケースでした。