土地借地型戸建開業
土地借地型戸建開業の特徴は、新規にプランを作成できるため、後発開業の少ない強みである競合に対して勝てる形や自分の意向を十分 に織り込んで計画をすることが出きるというところでしょうか。
また、財務的には借地料は必要経費として算定することができ、建物は法定耐用年数に応じた減価償却で経費算入できます。
なお、人口が多くいてもビルが建ちにくい地域、例えば都市計画法の低層の住居地域しか建てられない地域などは建ぺい率60%に容積 率100%といった地域などはせいぜい2階建てしか建てられないため、且つ敷地の販売ば一般の住宅販売価格からマーケティングされ 多数の面積が決められている地域などは、ある意味ビルが建設される可能性が低い地域と言えるでしょう。ある意味競合が出にくい地域 とも取れるかもしれません。こういった地域での開業も戸建開業であれば物件さえでれば開業することが可能です。
このような借地型での戸建開業においての実例ですが、
約170坪の敷地に約45坪の新築建物、10数台の駐車場という計画で組んでみました。場所的には田舎だったので賃料も安めだった のですが。具体的には借地料20万円/月、建物坪単価60万円(通常70~80万円を競争で落としていきました)で基本的に 建物及び外構や水道、電気等の引き込み、消費税を含め約3000万円これを金融機関の協力で20年返済にしてもらいました。
つまり、3000万円を金融機関から20年返済金利3%で借り入れしたとすると仮に元利金等で年間201.6万円、月にして 16.8万円(金利+元本返済)ですみます。つまり借地料の20万円+16.8万円=月額36.8万円で新築の建物約45坪と 駐車場10数台が計画できたのです(最終的には借地料や金利のディスカウントもありもっと安くなりました)。それも負担が大きい 借地部分は全額経費で、建物部分も減価償却で経費化できますので財務的にもテナント開業より有利な形ですすめることが出来ました。
もちろんマーケットもよく診療圏調査で70人以上取れる地域で、初日から25人以上の来院がありました。
この計画でのポイントだったのはよい物件が見つかったことと、金融機関の20年融資の協力だったと思います。マーケットがよかった ことや計画上財務的にも無理のない計画であったため協力が得られたこともあるのでしょうが銀行のご理解が大きかったことは事実です。
この場合地銀だったのでどのエリアでも出来るかどうかという問題はありますが、いい形の土地借地型での開業パターンだと思い紹介し ました。
さらに、注意点として借地の法律的な形態をご説明しておきます。
借地は一般的に普通借地、定期借地、事業用借地と言われるものに分けられます。
普通借地は以前からあった借地で一度借りれば借主が絶対的に有利になると言われていたものでバブル期問題になり、その後法律が 整備されました。最近ではあまりこの借地の利用はありません(資産家の方はやはり勉強されており地権者の方が了承されないこと がほとんど)。
定期借地は、定期借地マンションなどと同じようなケースで期間が50年など(もちろんもっと短くもできますが)長期に借地する 場合に適用します。地権者にとっては長期的なしばりがあるため土地評価額の20%程度を地権者に収めるパターンが一般的です。 マンション等に適したものでしょう。
事業用借地は、10年~20年程度の期間の借地でその後は出て行くか、再契約しなければいけません。現在借地で医院が建っている ケースはこのケースがほとんどです。保証金については、借地料の何ヶ月でいくケースより、その建物の計画により解体費を仮に算定し 将来的に若干解体費用が値上がりしても撤退時にその費用で解体可能な程度の金額が決まるケースがほとんどです。
これの注意点としてはこの事業用の期間延長について法制度の改正が考えられており30年くらいまでいけるようになる可能性がありま す。但し、この年数で地権者の方が了承されるかどうかは交渉によるためわかりません。
それと、地域によりますが、不動産屋さんが定期借地と事業用借地(正確には定期借地の中の事業用借地ですが一般論として)の特性 を理解しないまま実例を作ってしまい、事業用の20年でも土地評価額の20%をとっている地域もあります(法律的に×ではありま せんから)。この場合慣例として実際でていますので、法律の話や一般的な事業用借地の話をしても地権者の方が了承されないケース がほとんどです(身近に20%のお金を収めてもらった人がいるため)。
不動産は業として販売してある商品ではなく、個人や法人が持っているものを不動産業者が仲介するというものであるため、個人や法人 の所有者が貸さないと言ったらそれまでです。つまり交渉能力を持った不動産業者がいれば交渉は楽になるといったところでしょうか。